
1.「くらい」、「約」、「頃」の違い
2.「ものさし」は「計る物」です。
3.動詞「計る」の活用変化
4.「長さ」の単位
5.学生の活動:リボンの長さを計る
6.文型、動詞文文型表の掲示と活用
1. 「くらい」、「約」、「頃」の違い
リー:先生、質問があるのですが。「くらい」、「約」、「頃」って、どう違うんですか。
佐藤:たとえば、ここからここまでは鉛筆の長さなの。では、鉛筆の長さはどれくらいかしら。
リー:20センチくらいです。
キム:15センチくらいです。
佐藤:では、キムさん、この鉛筆の長さを計ってみて。
キム:15センチ1ミリです。
佐藤:この鉛筆の長さは「約」15センチです。見た感じでいうのが「くらい」で、計った結果をもとに言うのが「約」なの。だから、「くらい」は主観的な表現で、「約」は客観的な表現ということね。
「くらい」とか「やく」は、「長さ」、「深さ」、「厚さ」など「数」の言葉だけど、「時」での主観表現は、「頃」になるわね。このことも押さえる必要があるわね。
それでは、いい機会だから、「巻き尺でリボンを計る」という題で、「長さ」についての概念形成をする授業について、次回までに考えてきてね。二人とも、日本語教師を目指すわけだから、授業案の書き方もなれないとね。
…一週間後
佐藤:先週、授業案の宿題を出しましたが、考えてきました?
リー:はい、考えてきました。私ならまず教室のホワイトボードに赤いリボンと、黄色のリボンと、緑色のリボンを掲示します。そして、巻き尺を使って、学習者に計らせます。
佐藤:そう、いいわね。学習者を動かすと立体的な授業になるわね。
キム:私は、授業のはじめに
①巻き尺、ものさしなど「計る」ための道具を見せ、名称を確認します。
②「ものさし」は「計る」ものです。と提示して、「計る」の概念形成をします。
③「目盛り」という言葉の説明
④動詞「計る」の活用変化
⑤「メートル」「ミリメートル」「センチメートル」「キロメートル」など「長さ」の単位、①から⑤を押さえる必要があると考えました。
佐藤:そうね。それではキムさんの案で①から⑤の授業を始めて、⑥としてリーさんの案で学習者を活動させ、その結果を板書させる授業になるわね。
そして、学習者はホワイトボードの板書を通じて、「くらい」と「約」の意味が整理できるといいわね。
キム:板書の内容はどうなりますか。
佐藤:先週紹介した図をホワイトボードに掲示すればいいのよ。
それでは、教室でキムさんの導入とリーさんの活動をやってみましょうか。
キム、リー:はい、お願いします。
2.「ものさし」は「計る物」です。
佐藤:これは「ものさし」です。「ものさし」、一緒に。
学生:「ものさし」。
佐藤:「ものさし」は「計る物」です。「計る物」、いっしょに。
学生:「計る物」。
佐藤:では、「まきじゃく」も「計る物」ですか。
学生:はい、そうです。「まきじゃく」も計る物です。
佐藤:これを見なさい。
では、もう一度、しつもん。これは何ですか?
学生:「ものさし」です。
佐藤:では、「ものさし」は「どんなもの」ですか。
学生:「ものさし」は「はかるもの」です。
佐藤:では、「まきじゃく」は、「どんなもの」ですか。
学生:「まきじゃく」も「計る物」です。
佐藤:はい、そうです。「ものさし」も「巻き尺」も「計る」ものです。
3.動詞「計る」の活用変化
佐藤:ここで、教師は学生に対して、「計る」の「ます」形、「て」形、「ない」形、「た」型など動詞の活用形について質問します。
動詞の活用形練習は、初級教育のどの段階でも、折に触れて行うとよいでしょう。
4.「長さ」の単位
佐藤:ここで、教師は学生に対して、メートル、センチメートル、ミリメートルなどの「長さ」の単位の読み方を確認します。その時、教師はこのような資料を掲示するとよいでしょう。
5.学生の活動:リボンの長さを計る
教師は、あらかじめ教室に,授業で必要となる教材を掲示しておきます。
佐藤:これは何ですか。
学生:それはリボンです。
佐藤:リボンはどんなものですか。
学生:リボンは 「長いもの」です。
佐藤:はい、そうです。では、これは何色のリボンですか。
学生:それは赤色のリボンです。
佐藤:黄色いリボンですか。
学生:いいえ、黄色いリボンではありません。赤いリボンです。
佐藤:はい、そうです。陳さん。ホワイトボードの赤いリボンを見なさい。
赤いリボンの長さはどれくらいですか。(文型1)
陳:1メートルくらいです。
佐藤:では、キムさん、前に来なさい。
これで赤いリボンの長さを計りなさい。
ビジャヤさん、今キムさんは何をしていますか。
ビジャヤ:キムさんは今赤いリボンの長さを測っています。
佐藤:何で計っていますか。
ビジャヤ:巻き尺で計っています。
佐藤:はい。この「で」は何の「で」ですか。リーさん。
リー:この「で」は手段の「で」です。
佐藤:はい。成文どうぞ。
リー:キムさんが巻き尺で赤いリボンの長さを測っています。(文型2)
佐藤:では、キムさん、赤いリボンの長さは何メートル何センチ何ミリですか。(文型3)
キム:赤いリボンの長さは2メートル8センチ7ミリです。(文型4)
佐藤:赤いリボンの長さは約何メートルですか。
キム:赤いリボンの長さは約2メートルです。
佐藤:「約」は「主観のことば」ですか、「客観」の言葉ですか。
キム:「客観」のことばです。
佐藤:はい、キムさん、ありがとう。席に戻りなさい。
6.文型、動詞文文型表の掲示と活用
この後、同様の手順で陳さんが黄色いリボンの長さを計る活動を行います。
そして、動詞文文型表を提示して、「その後」の語彙理解展開も行います。
また、教師は、文型1~4を示し「文型1、3,4、ビジャヤさん質問、陳さん答え。」と、学習者同士で質問と答えの練習をする。リボンの代わりに、歯ブラシ、傘、ケータイ、靴などを使うといいでしょう。


