
②「使う物の展開例」
③「みんな」、「ぜんぶ」、「どんな」の意味
佐藤:日本語学習者は,とにかく新しい単語を覚えるのが大変ね。
『みんなの日本語』は、第6課を過ぎる頃、名詞だけでも100個近くになるわ。
リー:とにかく単語を覚えて、その後の語彙テストと、息つく暇もありませんでした。
キム:わたしはベトナム人なので、とにかく漢字を覚えるのが大変でした。
(ナレーション)
そこで、今回は、「大きい言葉」で、名詞を整理分類する活動を紹介します。
第6課では、「食べます」、「飲みます」、「見ます」、「書きます」、「読みます」といった基本的な動詞を学習します。これらの動詞に「物」をつけると、「食べる物」、「飲む物」、「乗る物」、「使う物」、「読む物」などとなります。ただし、「乗ります」は16課で扱います。
こういった「動詞普通体プラス物」という言葉は、雑多な名詞を整理分類し、また動詞普通体を導入するのにも役立ちます。
①「食べる物」の展開例
せんせい:(「ぱん」の絵カードを出して)
しつもんこれはすしですか。しつもんこれは「すし」ですか。みんないっしょに。
がくせい:いいえ、それは「すし」ではありません。
せんせい:では、「ごはん」ですか。
がくせい:いいえ、それは「ごはん」でもありません。
せんせい:では、これは「パン」ですか。
がくせい:はい、そうです。それは「パン」です。」
(教師はホワイトボードに「パン」の絵カードをはりつけます。)
せんせい:(バナナの絵カードを見せて)
では、これも「パン」ですか。みんないっしょに。
がくせい:いいえ、それは「パン」ではありません。
せんせい:では、これはなんですか。
がくせい:それは「バナナ」です。
せんせい:はい、そうです。これは「バナナ」です。
(教師は、ホワイトボードに「バナナ」の絵カードをはりつけます。)
せんせい:「パン」と「バナナ」は ぜんぶ「たべるもの」です。
「たべるもの」、みんな、いっしょに。
がくせい:「たべるもの」。
教師は「そば」と「ケーキ」の絵カードを使って同様の展開を行います。
せんせい:「パン」と「バナナ」と「そば」と「ケーキ」は、ぜんぶ「たべるもの」です。
では、「パン」と「バナナ」と「そば」と「ケーキ」は 「どんな」ものですか?
がくせい:…。
せんせい:「パン」と「バナナ」と「そば」と「ケーキ」はぜんぶ「たべるもの」です。
せんせい:では、もういちどしつもん。「パン」と「バナナ」と「そば」と「ケーキ」は 「どんな」ものですか?
がくせい:「パン」と「バナナ」と「そば」と「ケーキ」は 「たべるもの」です。
せんせい:はい、そうです。「パン」と「バナナ」と「そば」と「ケーキ」は、ぜんぶ「たべるもの」です。
教師は、同様の展開を「飲むもの」、「乗る物」、「使う物」に対しても行います。
②「使う物の展開例」
せんせい:「みるもの」と「きくもの」と「きるもの」と「かくもの」と「はくもの」と「よむもの」は ぜんぶ 「つかうもの」です。
「ちず」は 「つかうもの」で、「みるもの」です。
「みるもの」、いっしょに。
がくせい:「みるもの」。
せんせい:CDラジカセは 「つかうもの」で、「きくもの」です。
「きくもの」、みんないっしょに。
がくせい:「きくもの」。
せんせい:では、せんせい しつもん。リーさん、こたえ。
CDラジカセは 「みるもの」ですか、「きくもの」ですか。
リー:CDラジカセは 「きくもの」です。
せんせい:はい、そうです。 「CDラジカセ」は 「きくもの」です。
「CDラジカセ」は 「つかうもの」で、「きくもの」です。
この後、学習者は二人ずつ前に出て、「なに」と「どんな」の質問と答えの問答をし、絵カードを分類しながら貼っていく活動を行います。
せんせい:では、キムさん、しつもん。リーさん、こたえ。
キム:これは 「なに」で、「どんな」ものですか。
リー:それは、「ほん」で、「よむもの」です。
キム:はい、そうです。これは 「ほん」で、「よむもの」です。
③「みんな」、「ぜんぶ」、「どんな」の意味
キム:先生質問があるんですが。
佐藤:なんですか?
キム:字幕のところで「みんな」、「ぜんぶ」、「どんな」が赤文字になっていたじゃないですか。あれはどうしてですか。
佐藤:わかりました、説明するわね。「みんな」と「ぜんぶ」だけど、このパネルを見てちょうだい。「みんな」は「ひと」概念のことばで、「ぜんぶ」は「もの」概念のことばなの。外国で日本語を教えるときは、こうしたパネルを用意して説明すると,言葉の意味を整理する上で学生達の参考になるわね。
リー:「どんな」はどういう意味ですか?
佐藤:「どんな」は、ことばの意味内容を質問することばなの。たとえば、「これはなんですか」と、「なに」を使って質問されると、「牛乳です」とその物の名称を答えるけど、「これは どんなものですか」と「どんな」を使って質問された場合、「飲むものです」と意味内容を答えるでしょ。学生には、絵カードの分類作業を通じて「食べるもの」「飲むもの」「乗るもの」に比べて、「使うもの」がとても意味が幅広いことに気づいてほし
いの。その分類作業そのものが、動詞の語彙の拡大にそのまま結びつくから。


