
1.自動詞と他動詞の違い
2.「する」文から「なる」文へ
3.授業展開例(その1)
(1)自動詞と他動詞の概念形成
(2)「する」文
(3)他動詞文
(4)自動詞文
(5)「なる」文
とある喫茶店。日本語教師の佐藤先生は、将来海外で日本語教師を目指すキムさんとリーさんのために、また勉強会を開いています。
1.自動詞と他動詞の違い
キム:先生、質問があるんですが。自動詞と他動詞の違いを教えてください。
佐藤:たとえば、ある人が立っていて、その目の前に机を動かしている人がいたとします。見る人が、机を押している人に注目すれば他動詞を使い、机(物)に注目すれば自動詞を使うわけね。
リー:「を」と「が」と書いてありますが,どういう意味ですか。
佐藤:「他を動かす言葉」だから他動詞、「自分が動く言葉」だから自動詞になるの。
言い換えると、人を見てその動作を言うときは他動詞を使い、物を見てその状態とか現象を言うときは自動詞を使うわけよ。
キム:具体的に動詞を自動詞と他動詞に分けるとき、何かヒントはありますか。
佐藤:「絵を描く」とか、「料理を作る」とか人間が脳を使って、対象に働きかける動作に関連する動詞は全部他動詞になるわね。「花が咲く」とか「木が倒れる」とか自然界の出来事に関連する動詞は、全部自動詞になるわ。働きかける対象があるかどうかが重要ね。
では、「自動詞・他動詞」の区別がわかるような授業を考えてみましょう。
教師と学生のやりとりは、この表に従って進めるわね。この表は、学生が途中で道迷いしないように、ホワイトボードに貼っておきます。
まずは、この表の左半分を授業します。
2.「する」文から「なる」文へ
リー:先生、この資料にある「する」文って、なんですか。
佐藤:「する」文というのは、まだしていないけど頭の中で「これからしようと」考えている段階の文ね。
キム:「なる」文というのは。
佐藤:人が何か動作をした結果の文ね。たとえば、ここにコーヒーカップが2つあるでしょう。
「カップとカップの間が狭いです。」だから、「間を広くします。」これが「する」文ね。次が「私が コーヒーカップを 動かしています。」これが他動詞文。「コーヒーカップが動きます。」これが自動詞文。そして、最後に「間が 広くなりました。」これが「なる文」なの。授業では、「する」文→他動詞文→自動詞文→「なる」文の流れを理解しやすくするために、この資料を掲示するといいわね。
では、教室に移動して、3人で授業をしてみましょうか。
キム・リー:はい、お願いします。
3.授業展開例(その1)
(1)自動詞と他動詞の概念形成
佐藤:キムさん。自動詞は「自分が動く言葉」です。では、他動詞も「自分が動く言葉」ですか?
キム:いいえ、他動詞は 「自分が動く言葉」ではありません。
佐藤:はい、そうです。「自分が動く言葉」ではありません。他動詞は「他を動かす言葉」です。
(2)「する」文
佐藤:この机とこの机の間が狭いです。わたしは机と机の間を広くします。リーさん、「わたしは机と机の間を広くします。」は自動詞文ですか。
リー:いいえ、自動詞文ではありません。
佐藤:では何?
リー:他動詞文です。
佐藤:はい、そうです。他動詞文で「する」文です。
(3)他動詞文
佐藤:キムさん、これはコーヒーカップだけど、机だと思ってね。
キム:はい。
佐藤:では、わたしは 今から この机を 押します。キムさん、誰が押していますか。
キム:先生が押しています。
佐藤:何を押していますか
キム:机を押しています。
佐藤:はい、成文でどうぞ。
キム:先生が机を押しています。
佐藤:「先生が机を押しています。」は、自動詞文ですか。リーさん。
リー:いいえ、自動詞文ではありません。
佐藤:では、何?
リー:他動詞文です。
佐藤:はい、そうです。
(4)自動詞文
佐藤:先生は押しています。押しています。キムさん。机がどうしている?
キム:机が動いています。
佐藤:はい、机が 動いています。「机が 動く。」は自動詞文ですか、他動詞文ですか。キムさん。
キム:自動詞文です。
佐藤:私は この机を 押しました。
リーさん。机は どうしましたか。
リー:つくえが 動きました。
佐藤:はい、そうです。机が 動きました。
わたしは 机を 押しました。 押します。机が 動きました。
わたしは 机を 動かしました。
私は机と机の間を広くしました。
(5)「なる」文
佐藤:私は机と机の間を広くしました。これは何文?キムさん。
キム:「する」文です。
佐藤:では、キムさん、机と机の間がどうなりましたか。
キム:机と机の間が広くなりました。
佐藤:そうね。「机と机の間が広くなりました。」これは何文、リーさん。
リー:「なる」文です。
佐藤:授業での、「する」文→他動詞文→自動詞文→「なる」文の流れは理解できましたか。
リー:はい、途中動画があってとてもわかりやすかったです。
佐藤:ところで、「なる」には漢字が2つあること、知ってる?
キム:「成る」と「為る」ですか。
佐藤:そうなの。今日はこの表の左側をやったので、次回は反対の右側ね。物の「明るさ」がテーマね。そして、「成る」と「為る」の意味の違いもやるわね。
キム・リー:はい、お願いします。


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